NaCl東京支社の早川です。
Rubyエコシステム開発入門ワークショップが2026年8月5日(水)に開催されました。
本社から前田が、東京支社からは後藤、早川が参加しました。
前田、後藤がサポーターとして、私はビギナーとしての参加です。
この記事はRubyエコシステム開発入門ワークショップの私視点での参加レポートとなります。
今回の会場は株式会社ギフティさんの本社の一室でした。

「Rubyエコシステムの開発に参加する」を実際に体験するワークショップです。
Rubyアソシエーションによる情報発信の一環として、OSS Gate協力のもと企画・開催されました。
簡単に言うと、『OSSのREADMEを読みながらインストールして、気になった点をフィードバックとして送る』です。
バグを発見したり、コードを修正したり、新機能を提案したり、難しいことを求められているわけではありません。
OSS貢献の第一歩は、「ドキュメントをちょっとだけ良くできないかな?」から始まります。
当日の全体の流れは以下のような感じでした。
初めに、OSSとは何かという説明がありました。
OSS(Open Source Software)とはOpen Source Initiative(オープンソース・イニシアティブ、略称: OSI)の承認を受けたライセンスで配布されているソフトウェアを指すということでした。
OSIの承認にはOSIの定義した『オープンソースの定義(OSD)』に準拠する必要があります。
Rubyが採用しているRubyライセンス(Ruby's License)はOSIの承認申請をしていません。
ではRubyはOSSではないのかという疑問がわきます。
実はRubyはRubyライセンスと2条項BSDライセンスのデュアルライセンスです。
2条項BSDライセンスはOSIに承認されているので、RubyはOSSということになるそうです。
Rubyライセンスは以下の事情から、あえてOSI承認申請をしていないそうです。
参考:
[OSS]RubyライセンスとOSI承認 - Matzにっき(2003-06-07)
初めにOSS Gateのリポジトリに作業ログ用のIssueを立てます。
作業中は自分が何をしたか、何に詰まったか、何ができたか、何ができなかったかという作業ログをこまめに残します。

今日フィードバックを送る対象を決めます。
基本的に自分が興味のあるRuby関連のOSSなら何でもOKです。
Ruby、PicoRuby.wasm、Hanami、Kaminariなど、参加者によって選ぶものが全然違って面白かったです。
対象のリポジトリでOSSであることを確認します。
LICENSEファイルやREADMEに記載されていることが多いようです。
対象が決まったら、フィードバックする内容を考えます。
まずはREADMEを読みながらインストールしてみます。
READMEのとおりに進めてもうまくいかなかった、わかりづらかった点があればそれがフィードバックの種になります。
インストールがうまくいっても、README自体をより良くする方法が見つかることもあります。
例えば、サンプルコード内の変数名が一貫していない、改行位置がずれているといった内容です。
ここまでの作業で前半が終了しました。
参加者同士で誘い合ってお昼ご飯を食べに行きました。(写真を撮り忘れましたが、私は焼き肉を食べました!)
食事中は来年のRubyKaigiについてやRailsアップデートが大変な話などなど、Rubyトークが盛り上がりました。
前半で何をしたか、どういう風にフィードバックしようとしているかなど、同じテーブルのメンバーに共有します。
参加者の多くが「フィードバックする内容としてふさわしいのか?」「こんなこと言ったら失礼では?」という不安を感じているようでした。
「こういう言い方なら歓迎されそう」「そこは好みの問題かもしれない」など周りの意見を聞くことができ、サポーターからもお墨付きをもらえるので、「じゃあフィードバック送ってみるか~」となります。
初心者にとってこの背中を押してもらう時間がとても重要だと感じました。

チームの意見を聞き、フィードバックする内容が決まったら、Issueを立てたりPRを作ったりします。
PRを作るときはフォークしたリポジトリにプッシュしてPRを作るという流れになるのですが、forkボタンを押したことがないという方も多かったようです。
IssueやPRの内容もサポーターが最終チェックしてくれますが、最後にCreateボタンを押すときはみんな「本当に押していいの!?」とドキドキしていました。

短い休憩を挟み、実際にどのような内容をフィードバックできたかを数名が発表しました。
なんと発表の時点で既にマージされていた方がいました。
小さなドキュメント修正でも歓迎されていることを感じることができました。
ギフティさんによるスポンサーLTと北陸Ruby会議2のお知らせがありました。
会場を提供いただいたギフティさんには大変感謝いたします。
須藤さんによる、生成AIとOSSのお話がありました。
OSS活動でAIを使うのならば意識すべきことがあるという主張でした。
大まかに分けるとポイントは3点です。
特に重要なのは『開発チームの一員として振舞う』ということだと感じました。
AIに開発を丸投げして、PRのレビューはメンテナーに任せる。返ってきたレビューをまたAIに投げる。
これではメンテナーにAIの相手を任せているだけで、チームの一員として活動しているとは言えません。
『メンテナーはAIではなく、PRを送ってきた人の意見、考えが聞きたいんです』という須藤さんの言葉もありました。
PRを送る側も受け付ける側も、お互い気持ちよく開発するための大切なマナーだと思いました。
今回のワークショップについてアンケートを記入しました。
記入したアンケートについて、どうしてそう思ったか、どうしたら良くなるか、という議論がされました。
ワークショップ終了後に懇親会がありました。
ギフティさんの会場で飲み物や軽食が用意され、当日の感想や地方のカンファレンス事情などの話が盛り上がりました。

私自身もこれまでOSS活動をしていましたが、Rubyエコシステムにコントリビュートすると聞くと身構えてしまう部分がありました。有名なライブラリはすごい人たちがすごい会議の末にすごいコミットをしている、みたいなイメージがあり、近寄りがたかったのです。
ワークショップに参加してみて、Rubyエコシステムと言ってもそんなにハードルの高いものじゃない、貢献は小さなことから始められると気づくことができました。
私が今回出したPRはまだメンテナーからのレビューはいただいていませんが、今後も積極的にIssueを立てたりPRを出したりしてRubyエコシステムに貢献していきたいと思います。